大きな悩みを抱えているときに、「目の前にある小さな幸せを喜びましょう」と言われても、素直にうなずけないことがありますよね。

「こんなに大きな問題があるのに、小さなことなんて喜べない」。そう思うのが、正直なところではないでしょうか。私も、そう思っていた時期がありました。

ですから今日は、その気持ちを否定するところからではなく、なぜ喜ぶことが先なのか、そしてどうすれば大きな問題を抱えたままでも喜べるのかを、順を追ってお話ししていきますね。

問題が起きると、私たちはまず動こうとします

問題が起きたとき、私たちは一日も早く解決しよう、なんとか良い方向へ変えようと思って、あれこれ考えたり動いたりします。情報を集める。人に相談する。手を打つ。

これはとても自然なことですし、必要なことでもあります。放っておいて勝手に片づく問題は、そう多くありませんから。

もちろん、問題を解決するために行動すること自体は大切です。私も、お客様から相談を受けたときには、まずできることを一緒に整理していきます。

ただ、ここに落とし穴があるのです。

焦って動くと、ほんの少し捉え方や行動を間違えることで、かえって問題を大きくしてしまったり、そこから別の問題を引き寄せてしまったりすることがあります。

急いでいるときほど、私たちは大事なところを見落としてしまうんですね。

焦りは、判断をゆがめます

なぜ焦ると間違えるのでしょうか。それは、焦っているときの心が、いつもより狭くなっているからです。視野が狭くなると、目の前の一手しか見えなくなります。

本当は三つも四つも道があるのに、一本しか見えない。しかも、その一本が「いま一番怖いことを避ける道」であることが多いのです。相手に言い返してしまう。

勢いで辞めてしまう。よく考えずにお金を出してしまう。

あとから振り返ると「なぜあんなことをしたのだろう」と思うような選択を、そのときは正しいと信じてやってしまいます。

これは、その人の判断力が低いからではありません。追い詰められた心は、誰でもそうなるようにできているのです。

だから、動く前に、まず心の幅を戻すことが必要になります。

多くの人が、順番を逆にしています

そして、ここからが今日の本題です。多くの人が、「この問題が解決したら喜ぼう」「すべてがうまくいったら幸せになろう」と思っています。

とても真面目で、筋が通っているように見える考え方です。片づいてもいないのに喜ぶなんて、不謹慎な気さえしますよね。

けれど実は、この順番だとなかなかうまくいかないのです。理由は単純で、喜べない心のままでは、いい判断ができないからです。

心が沈んでいるときの目には、悪い材料ばかりが飛び込んできます。人の言葉も悪いほうに聞こえますし、助けの手が伸びていても気づけません。

結果として、解決から遠ざかってしまう。そして解決しないから、ますます喜べない。この輪から抜け出せなくなってしまうんです。

喜びは、ごほうびではなく燃料です

私たちは、喜びをごほうびだと思っています。がんばった人だけがもらえるもの、結果が出た人だけが味わえるもの。

けれど一人さんの教えにふれていると、喜びはごほうびではなく燃料なのだとわかってきます。燃料は、走り出す前に入れるものです。

走り終わってから入れても、その走りには使えません。同じように、喜びも先に入れておくものなんですね。先に喜んでおくと、心が広がります。

心が広がると、見える道が増えます。道が増えると、いい選択ができるようになる。だから結果として、問題も片づきやすくなる。

「喜ぶのが先」というのは、精神論ではなく、とても現実的な順番の話なのだと思います。

『きせきのばかず』を読んで気づいたこと

先日、斎藤一人さんとみっちゃん先生の新刊『きせきのばかず』を読ませていただきました。

読み終えて、私がこれまで思っていた「ばかず」とは、まったく違うものだったのだと気づかされました。

私はそれまで、数を打てば当たる、とにかくたくさん行動しなさい、という意味だと思い込んでいたのです。けれど、そういうことではありませんでした。

ここで内容を細かくお話しすることはしませんが、同じ悩みを抱えていたとしても、どのように捉え、どのように行動するかによって、気持ちを軽くして前を向くことができる。

そして、その先に問題の大好転をつなげていくこともできる。そのことを、あらためて教えていただいた一冊でした。

「頭ではわかっている」の壁

とはいっても、こう思われるはずです。「先に喜ぶことが大切なのは、頭ではわかっている。

でも、こんなに大きな問題があるのに、どうやって目の前の小さなことを喜べばいいの」と。この気持ちは、本当によくわかります。

頭でわかることと、心が動くことのあいだには、かなりの距離があります。そして多くの本や教えは、この距離を飛び越えなさいと言うだけで、渡り方を教えてくれません。

ですからここからは、私が実際にやってみて、これならできると思った渡り方をお伝えしますね。難しいことは何もありません。

順番に読んでいただければ、今日から試せるものばかりです。

まず、問題と自分を切り離す

最初にやることは、問題と自分をいったん切り離すことです。悩んでいるとき、私たちは自分が問題そのものになってしまっています。

二十四時間ずっとその話が頭の中で回っていて、ほかのことを考える隙間がありません。ですから、意識して隙間をつくります。おすすめは、時間を区切ることです。

「この件について考えるのは、夜の八時から三十分だけ」と決めてしまうのです。

それ以外の時間に頭に浮かんできたら、「今は時間じゃないから、八時にね」と自分に言って、いったん置きます。最初はうまくいきません。何度も戻ってきます。

それでも構いません。置く練習をしているうちに、少しずつ隙間ができてきます。その隙間が、喜びの入る場所になります。

「それでも良かったこと」を探す

次に、問題を抱えたままでも見つかる「良かったこと」を探します。ここで大事なのは、問題そのものの中に良いところを探そうとしないことです。それは無理があります。

つらいことは、つらいままでいいのです。そうではなく、問題とはまったく関係のないところに目を向けます。今日のお味噌汁がおいしかった。洗濯物がよく乾いた。

近所の花が咲いていた。この問題とは何の関係もないことばかりですよね。それでいいのです。人生は問題ひとつでできているわけではありません。

同時にいくつものことが起きていて、そのうち一つがつらいというだけのことなんです。

この見方ができるようになると、問題の占める面積が、少しずつ小さくなっていきます。

体を先に動かす

心が動かないときは、体を先に動かすのが早道です。掃除をする。窓を開ける。少し歩く。お風呂に入る。台所を片づける。

心が変わるのを待っていると、いつまでも待つことになります。けれど体は、こちらの言うことを聞いてくれます。そして体が動くと、あとから心がついてくるのです。

特におすすめなのが、玄関とお手洗いの掃除です。一人さんの教えの中でも、水回りや玄関を整えることはよく語られます。

理屈はいろいろありますが、私は単純に、狭い場所だからすぐ終わって達成感が得られるところがいいと思っています。五分で終わって、目に見えてきれいになる。

この小さな成功が、沈んだ心を少しだけ引き上げてくれます。

深刻さを、少しだけ下げてみる

問題を軽く見なさいということではありません。ただ、深刻さの度合いは、自分で調整できるのです。

同じ出来事でも、眉間にしわを寄せて語ることもできれば、少し肩の力を抜いて語ることもできます。

試しに、いま抱えている悩みを、誰かに話すつもりで頭の中で言葉にしてみてください。そのとき、できるだけ淡々と、事実だけを並べてみるのです。

「今こういう状況で、これが決まっていない」。それだけにすると、思っていたより短い言葉で済むことに気づきます。

私たちは悩みに、感情という飾りをたくさんつけて、実物より大きく見せてしまっているんですね。飾りを外すと、意外と扱えるサイズになっていることがあります。

人に話すときの、ちょっとしたコツ

誰かに相談するときは、聞いてくれる相手を選んでください。一緒に落ち込んでくれる人ではなく、明るい人がいいのです。

深刻に受け止めてくれる人は、優しく感じられますが、その場の空気をさらに重くしてしまうことがあります。

反対に、「まあ、なんとかなるでしょう」と言ってくれる人と話すと、不思議と自分も「そうかもしれない」と思えてきます。これは、相手が無責任なのではありません。

その人が明るい場所に立っているから、こちらの目にもその明るさが映るのです。

当店の寺子屋お茶会に来られる方が、帰り際に「なんだか軽くなりました」とおっしゃるのも、たぶん同じことなのだと思います。

解決しないまま、幸せでいてもいい

ここまで読んでくださった方に、いちばんお伝えしたいことがあります。それは、問題が解決しないままでも、幸せでいてかまわないということです。

私たちはどこかで、「問題があるうちは幸せになってはいけない」と思い込んでいます。けれど、そんな決まりはどこにもありません。

悩みを抱えたまま笑ってもいいし、片づいていないまま、おいしいものを食べていいのです。むしろ、そうしている人のほうが、最終的に問題を上手に片づけていきます。

幸せは、問題の有無で決まるのではなく、その人が何を見ているかで決まるからです。

大好転は、静かに始まります

問題が大きく好転するとき、それは劇的な形では起きないことが多いようです。ある日突然すべてが解決するのではなく、まず自分の気持ちが少し軽くなる。

すると、いままで思いつかなかったことを思いつく。そこで小さく動いてみると、思いがけない人が助けてくれる。そうやって、一つずつ流れが変わっていきます。

振り返ってみると、最初のきっかけは「気持ちが少し軽くなったこと」だったりするのです。だから、いまあなたにできるのは、大きなことではありません。

心を少しだけ軽くしておくこと。それが、次の展開を呼び込む準備になります。

今日から始められる、三つのこと

最後に、今日からできることを三つにまとめておきますね。ひとつめ、悩む時間を決めて、それ以外の時間は考えないと決める。

ふたつめ、問題と関係のないところで「よかったこと」を三つ数える。みっつめ、五分でいいので玄関か水回りを掃除する。

どれも、問題そのものを解決するものではありません。けれど、解決に向かうための心の状態を整えてくれます。順番を思い出してください。

喜びが先で、解決はあとからついてくる。この順番を信じて、今日を過ごしてみてくださいね。

ひとりで抱えないでください

そして、どうしてもつらいときは、ひとりで抱え込まないでください。話すだけで軽くなることは本当にあります。

まるかん高陽店では、白光のカウンセリングでゆっくりお話をうかがっていますし、寺子屋お茶会では同じように悩みを越えてきた仲間と出会えます。

専門的な助けが必要なことであれば、迷わずその窓口を頼ってください。頼ることは、負けではありません。

あなたが軽くなることが、まわりの人にとっても、いちばんの助けになるんですよ。

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