「もっと私を見てほしい」「私を大切にしてほしい」。そんな気持ちが強くなるときが、誰にでもあります。相手が悪いわけではないのに、なぜか物足りない。
感謝されないことに腹が立つ。連絡が来ないだけで、見捨てられたような気持ちになる。
そういうときは、相手が冷たくなったのではなく、あなたが自分で自分を満たせていないのかもしれません。
今日は、一人さんが教えてくださる「まず自分を満たす」という考え方について、じっくりお話ししていきますね。
心が乾いていると、人に求めたくなります
自分を大切にすることを忘れていると、人は無意識のうちに、誰かに心を満たしてもらおうとします。
わかりやすい形で出る人もいれば、そうでない人もいます。
たとえば、必要以上に相手の気を引こうとする。話を大きくしてしまう。具合が悪いふりをする。
あるいは反対に、頼まれてもいないことまで引き受けて、「こんなにしてあげたのに」と見返りを求めてしまう。
どれも、根っこは同じです。自分の中が乾いているので、外から水をもらおうとしているんですね。
これは、性格が悪いということではまったくありません。人として、ごく自然な反応です。ただ、この方法には大きな問題があります。

相手は、いつもあなたの望むようには満たしてくれません
その問題とは、相手がいつも自分の望むように満たしてくれるとは限らない、ということです。
相手にも、その日の体調があります。仕事の疲れがあります。あなたのことを大切に思っていても、たまたま今日は余裕がないということもあるでしょう。
つまり、あなたの心の水位を、他人に預けてしまっている状態なんです。
相手の機嫌がよければ満たされ、悪ければ枯れてしまう。これでは、毎日が天気まかせのようなものですよね。
しかも、求められた側もだんだん苦しくなります。何をしても足りないと言われているように感じて、いつしか距離を置くようになる。
求めれば求めるほど遠ざかっていくというのは、本当に切ないことです。
だから、自分で自分を満たすのです
では、どうすればいいのでしょうか。
一人さんの答えは、はっきりしています。まず自分が、自分の一番の味方になってあげること。
自分を満たすというと、何か大きなことをしなければいけないように聞こえますが、そうではありません。日々のごく小さなことの積み重ねなんです。
食べたいものを食べる。疲れたら休む。やりたいことを少しでもやってみる。本当の気持ちを無視しない。
たったこれだけです。けれど、この「たったこれだけ」ができていない方が、驚くほど多いのです。
食べたいものを食べる
まずは、食べたいものを食べることから。
安いから、余っているから、家族の残りだから。そんな理由で、食べたくないものを口に運んでいませんか。
一日三度の食事は、一年で千回以上あります。そのたびに「本当は違うものが食べたいのに」と自分の声を無視していたら、心が渇いていくのも当たり前ですよね。
高価なものである必要はありません。今日は温かいものが食べたい、今日は甘いものが欲しい。その声を聞いて、そのとおりにしてあげる。
それだけで、自分を大切にする練習になります。
疲れたら休む
次に、疲れたら休むこと。
これも、簡単なようでいて難しいことです。まだ終わっていない仕事がある。家族に申し訳ない。休むと怠けているように思われそう。
そんな理由で、休むことに罪悪感を持ってしまう方がたくさんいらっしゃいます。
けれど、疲れた状態で無理を続けても、いい仕事はできません。それどころか、言葉がきつくなって、大切な人を傷つけてしまうこともあります。
休むというのは、あなたのためだけではなく、まわりの人のためでもあるんです。
十分に休めないという方は、まず十分だけでも構いません。座って、お茶を一杯飲む。それだけでも、体は「大切にされている」と感じてくれます。
やりたいことを、少しでもやってみる
三つめは、やりたいことを少しでもやってみることです。
いつか時間ができたら、いつかお金に余裕ができたら。そう言っているうちに、何年も過ぎてしまうものです。
丸ごとやろうとしなくていいので、その一部分だけをやってみてください。
旅行に行けないなら、行きたい場所の写真を見る。習い事に通えないなら、道具だけ買ってみる。それでも十分に、心は満たされ始めます。
やりたいことをしている人は、顔つきが違います。そして、そういう人のそばにいると、まわりの人まで自由な気持ちになれるんですよ。
本当の気持ちを、無視しない
最後に、これがいちばん大切かもしれません。本当の気持ちを無視しないことです。
嫌なのに「大丈夫です」と言っていませんか。悲しいのに「気にしていません」と笑っていませんか。
気持ちにふたをすることが習慣になると、そのうち自分が何を感じているのかさえ、わからなくなってしまいます。
誰かに言う必要はありません。心の中で「本当は嫌だったな」「本当は寂しかったな」と認めてあげるだけでいいんです。
認めてもらえた気持ちは、不思議と静かになっていきます。暴れるのは、無視されているときなんですね。
「わがまま」とは違います
こうお話しすると、必ずこう言われる方がいらっしゃいます。「それでは、ただのわがままではありませんか」と。
けれど、自分を満たすことと、わがままは別のものです。
わがままというのは、自分を満たすために人に何かをさせようとすることです。私の機嫌をよくするために、あなたが動きなさい、という状態ですね。
いっぽう自分を満たすというのは、自分の機嫌を自分で引き受けることです。人に何かをさせる必要がありません。だから誰も傷つけないんです。
むしろ、自分を満たせていない人のほうが、結果として人に負担をかけてしまいます。満たしてもらおうとして、まわりの空気を重くしてしまうからです。
自分を満たすというのは、いちばん人に迷惑をかけない生き方だと、私は思っています。
我慢を美徳にしてきた方へ
日本で育った私たちは、我慢することを美徳として教えられてきました。自分のことは後回しにして、人のために尽くす。
そういう生き方を、立派だと言われて育った方も多いでしょう。
その優しさは、本当に尊いものです。
けれど、我慢には限界があります。溜め込んだものは、いつか必ずどこかに出ます。突然涙が出たり、体が動かなくなったり、いちばん大切な人に強く当たってしまったり。
一人さんの教えが優しいのは、「我慢をやめなさい」ではなく、「まず自分を満たしなさい」と言ってくださるところだと思います。
無理に人を突き放さなくていいんです。ただ、自分の分をきちんと取ってから、残りを分けてあげればいい。順番を変えるだけなんですよ。

満たされると、人間関係が楽になります
自分で自分を満たせるようになると、何が変わるのでしょうか。
まず、相手に求めすぎることが減ります。
心の中に自分で水を注げるようになるので、相手が忙しくても、返事が遅くても、以前ほど揺れなくなります。相手の事情を、そのまま受け止められるようになるんです。
すると面白いことに、相手のほうから優しくしてくれるようになります。求められなくなった安心感から、自然と手を差し伸べたくなるんですね。
人間関係というのは、追いかけるとうしろに下がり、こちらが満たされていると近づいてくる。そんな不思議なところがあります。
まずは、今日ひとつだけ
一度にすべてを変えようとしなくて大丈夫です。
今日ひとつだけ、自分の気持ちを優先してみてください。飲みたいお茶を選ぶ。十分早く布団に入る。読みかけの本を開く。
そんな小さなことの積み重ねが、あなたを内側から満たしていきます。
あなたは今日、自分のために何をしてあげますか。
自分で自分を満たせるようになると、相手に求めすぎることが減り、人間関係もずっと楽になっていきますよ。
うまくいかないときは、どうぞ当店にお話をしにいらしてくださいね。



