「行きたくないけれど、行かなければならない」「欲しいけれど、お金がもったいないから我慢しよう」「本当はやってみたいけれど、失敗したら嫌だからやめておこう」。
そんな小さな我慢を、知らないうちに積み重ねていませんか。
ひとつひとつは、たいしたことではないように見えます。今日の予定を一つ諦めただけ。欲しかったものを買わなかっただけ。
けれど、この小さな我慢は毎日積み上がっていきます。一年経つと、かなりの量になっているんです。
そして気がついたときには、自分が本当は何をしたかったのか、思い出せなくなっている。そんな方が本当に多いのです。
私たちは、少しずつ諦めながら大人になります
子どものころは、誰に教わらなくても自分の気持ちがわかっていました。あれが食べたい、あそこに行きたい、これがやりたい。まっすぐで、迷いがありませんでしたよね。
けれど大人になるにつれて、私たちは自分の好きなことや本当に望んでいることを、一つずつ諦めてしまいがちです。
お金がかかるから。時間がないから。家族に悪いから。年齢的にもう遅いから。まわりから何と言われるかわからないから。
理由はいくらでも見つかります。そして理由を見つけるのが上手になるほど、心の声は小さくなっていきます。小さくなった声は、そのうち聞こえなくなります。

「こうしなければならない」は、たいてい思い込みです
ここで一度、立ち止まってみてほしいのです。
あなたが「こうしなければならない」と思っていることを、紙に書き出してみてください。そして一つひとつに、「本当にそうだろうか」と問いかけてみるんです。
毎年必ず出席しなければならない集まり。誰にも頼まずに全部自分でやらなければならない家事。断ってはいけない頼まれごと。
よく考えてみると、多くは自分の思い込みだったりします。誰かにそう言われたわけでもなく、決まりがあるわけでもない。
ただ、いつからかそう思い込んで、自分に課してきただけ。
思い込みだと気づくだけで、心はずいぶん軽くなります。やめてもいいし、続けてもいい。
選べるということがわかるだけで、同じことをしていても気持ちが違ってくるんですよ。
自分を満たすことは、わがままではありません
こういうお話をすると、必ずこう言われます。「自分の好きなようにするなんて、わがままではありませんか」と。
一人さんは、はっきりとこう教えてくださいます。自分を満たすことは、決してわがままではない、と。
では、わがままとは何でしょうか。それは、自分だけが良くて、まわりに迷惑をかけることです。人に何かを我慢させて、自分だけが得をする。それがわがままです。
いっぽう、自分を満たすというのは、自分の機嫌を自分で取ることです。誰かに何かをさせるわけではありません。だから、誰にも迷惑をかけていないんです。
むしろ、自分を満たせていない人のほうが、結果としてまわりに負担をかけてしまいます。満たされない気持ちは、どこかに出口を探すからです。
我慢は、いつか形を変えて出てきます
溜め込んだ我慢は、消えてなくなるわけではありません。
ある人は、突然涙が出るようになります。ある人は、体が重くなって朝起きられなくなります。そしてある人は、いちばん身近な人に、きつい言葉をぶつけてしまいます。
「私はこんなに我慢しているのに」
この言葉が出てきたら、それは心からの合図です。もう十分がんばったよ、少し自分に返してあげてね、というお知らせなんですね。
我慢している人は、まわりの人にも同じ我慢を求めがちです。自分が我慢しているのに、あの人だけ自由にしているのは許せない。
そうやって、我慢は家族のあいだにも広がっていきます。
笑顔でいることが、まわりへの一番の贈り物
反対に、自分を大切にして笑顔でいることは、まわりの人にも良い影響を与えます。
これは、実際に家庭を見ているとよくわかります。お母さんが機嫌よくしている家は、家族全員が明るいのです。
お母さんの表情が曇っている家は、みんなが顔色をうかがっています。
家の中の空気は、いちばん我慢している人の顔色で決まってしまうんですね。
だから、あなたが自分を満たすことは、家族への贈り物でもあるんです。
「自分だけ楽しんで申し訳ない」ではなく、「私が機嫌よくいることが、この家の役に立つ」と考えてみてください。
そう思えると、堂々と自分を満たせるようになります。
我慢しているうちは、人の自由も許せません
もうひとつ、知っておいていただきたいことがあります。
自分に厳しい人は、たいてい人にも厳しくなります。
自分は好きなものを買わずに我慢しているのに、家族が気軽に買い物をしていると腹が立つ。
自分は疲れていても家事をしているのに、横で休んでいる人を見るとイライラする。
こういう気持ちが出てきたとしても、あなたが心の狭い人だということではありません。ただ、自分に許していないことは、人にも許せなくなる。それだけのことなんです。
だから、この不機嫌をなくす方法はひとつしかありません。相手に我慢させることではなく、自分にも同じ自由を許してあげることです。
自分に許した人は、人にも許せるようになります。家の中がやわらかくなるのは、誰かが我慢をやめたときなんですよ。
「後でいい」は、たいてい来ません
我慢する人の口癖に、「今はいいから、後で」というのがあります。
子どもが大きくなったら。仕事が落ち着いたら。お金に余裕ができたら。
けれど、その「後で」は、なかなかやって来ません。子どもが大きくなれば別の用事ができ、仕事が落ち着けば新しい役目が回ってきます。
人生というのは、そういうふうにできているようです。
一人さんの教えの中には、幸せは条件が整ってからなるものではない、という考え方があります。今この状態のまま、幸せでいることを選べる。順番が逆なんですね。
だから、待たないでください。
今日できる範囲で、今日のうちに。そのほうが確実です。
あなたは今、自分にどれだけ自由を許していますか
ここで、ひとつ質問をさせてください。
あなたは今、自分にどれだけ自由を許していますか。
食べたいものを食べる自由。休みたいときに休む自由。行きたい場所へ行く自由。断りたいことを断る自由。やってみたいことに手を出す自由。
十点満点で、何点くらいでしょうか。
点数が低くても、落ち込む必要はまったくありません。多くの方が、はじめは三点や四点だとおっしゃいます。
大事なのは、今の点数を知って、そこから一点だけ上げてみることです。

今日、ひとつだけ許してあげてください
一度に全部を変えようとしなくて大丈夫です。
今日、一つだけでも「本当はやりたいこと」を自分に許してあげてくださいね。
食べたかったお菓子を買う。読みたかった本を開く。行きたかった喫茶店に入る。連絡したかった人に連絡する。予定を一つ断って、家でゆっくりする。
そんな小さなことで構いません。むしろ、小さいほうがいいのです。すぐにできて、すぐに「気持ちいいな」と感じられますから。
その気持ちよさを、体に覚えさせてあげてください。一度覚えると、次はもう少し大きなことも許せるようになります。
自分を満たした分だけ、人に優しくなれます
自分を満たすようになると、不思議なことが起こります。
人に優しくできるようになるのです。
余裕がないときは、誰かの小さなミスにもイライラしてしまいます。
けれど自分が満たされていると、同じミスを見ても「まあ、そういうこともあるよね」と流せるようになる。
そして、人の幸せを素直に喜べるようになります。
自分を我慢させていると、楽しそうにしている人を見るのがつらくなりますが、自分も楽しんでいれば、人の楽しさも一緒に喜べるんですね。
自分を満たすことは、めぐりめぐって、まわりの人を幸せにします。
順番はいつも、自分が先。一人さんの教えが優しいのは、この順番をはっきりと示してくれるところだと、私は思っています。
今日はあなたに、どんな自由を許してあげますか。



